健康づくり講座(メタボリックシンドローム)の講演を行いました
先日7月10日若林区役所にて健康づくり教室の講演を行わせていただきました。。
いただいたテーマはメタボリックシンドロームということで、メタボの診断から予防・改善まで説明させていただきました。
講演会の様子
今後、他にもためになる講座が開催されるようですので気になった方は参加をご検討ください。
若林区 健康づくり講座(https://www.city.sendai.jp/waka-zoshin/wakabayashiku/kenko/kenkozukuri/kowa.html)
当日は参加者のみなさん、たいへん勉強熱心で質問も積極的にいただき、私としても勉強になりました。
メタボリックシンドロームという言葉自体はその歴史はあまり深くはありません。
2005年に日本内科学会などの8つの医学系の学会が合同してメタボリックシンドロームの診断基準を策定しました。ちょうど私が医師になった年になります。
メタボリックシンドロームの診断基準が定められる前には、肥満と生活習慣病3疾患(糖尿病、高血圧、脂質異常症)の合併はその心疾患や脳卒中などの健康リスクの高さから、「死の4重奏」というおどろおどろしい名前で呼ばれていました。
メタボリックシンドロームはそのようなリスクが高い段階になる前に対策・予防をしようと提起されて生まれた症候群の名前です。策定されて間もない当時は行政機関も積極的に周知に動いており、私も医師3-4年目の頃、福島県の会津地域の地域医療に携わっていた都合で、住民対象にメタボリックシンドロームをテーマにした講演会を何度も行ったことを懐かしく覚えています。
今ではメタボという言葉は皆さんの生活に溶け込んでいますが、改めて診断基準を見ますと、
①腹囲(男性85㎝以上、女性90㎝以上)
②血圧(130/85mmHg以上)
③血糖(110㎎/dL以上(仙台市の健診ではHbA1cで5.6%以上))
④脂質(中性脂肪150mg/dL以上またはHDL40mg/dL未満)
①があり②③④の3つの項目の内、いずれか2つが該当する場合に診断されます。
腹囲が診断基準にある理由は、お腹周りが太い方(いわるゆリンゴ型肥満)の方は内臓脂肪が多いこと(=内臓脂肪肥満)に由来するものです。
実は内臓脂肪細胞からは「アディポサイトカイン」という動脈硬化や生活習慣病に深く関わる生理活性物質(ホルモンのようなもの)が多種分泌されており、
内臓脂肪肥満になると動脈硬化や生活習慣病を悪化させやすい悪玉のアディポサイトカイン(TNF-αやPAI-1など)の働きが活発になり、逆に動脈硬化に予防的に働く善玉のアディポサイトカイン(アディポネクチンやレプチンなど)の働きは弱ってしまうことが知られています。
この内臓脂肪型肥満の程度は腹囲と比例することから診断基準として腹囲が用いられています。
つまり、メタボリックシンドロームと診断されたということは、内臓脂肪型肥満があるという事で動脈硬化や生活習慣病のリスクが高く、更に生活習慣病関連の数値もすでに高目ということで、より健康リスクが高いと言える状態になります。
そして、皆さんも毎年受けている特定健診や基礎健診はまさにこのメタボリックシンドロームをターゲットにした健診です。
特に仙台市の健診の場合には結果票にメタボリックシンドロームの診断基準の説明や、結果の見方なども含めて詳しく載っています。
このため、健診をまずは受けることが最も大事ですが、「受けるだけ」ではなく、「結果の評価・見方」のところもよく見ていただければと思います。
そして何か異常があった際には、ためらわずに医療機関の受診をしていただければと思います。